2025.12.20
世界初?骨壷のTVCM――「はなつぼみ」CMを広告プロデューサーが自己評価
石川県で生まれた、前例のないTVCM
「骨壷のTVCMを作りました」
この一文だけで、多くの広告関係者は立ち止まるのではないでしょうか。
なぜなら骨壷は、広告表現において最も扱いづらいテーマのひとつだからです。
今回紹介するのは、九谷焼の骨壷「はなつぼみ」のCM。
死や葬儀を直接描くのではなく、“想いを包む器”として骨壷を描いた映像です。
骨壷のTVCMは世界的にも極めて珍しい
骨壷そのものを主役にしたTVCMは、国内外でも極めて稀です。
なぜ前例がほとんどないのか
- 死や葬送は「タブー視」されやすい
- 宗教・思想と誤解されるリスクがある
- 衝動買いされる商品ではない
- テレビは「家族が集まる空間」に入り込む媒体
そのため、世界的にも - 葬儀社
- 終活サービス
- 霊園
のCMはあっても、 骨壷単体をブランドとして描いたCMは見られません。
そうした中で制作されたこのCMは、 「世界初の挑戦」かもしれません。
① 骨壷を「商品」ではなく「文化」として描いている
このCMは、
- 機能説明をしない
- 価格を言わない
- 使用シーンを説明しない
代わりに描いているのは、 - 触れる手の動き
- 佇まい
- 静かな時間
つまり、 骨壷=想いを包む器 という価値を、映像だけで伝えています。
これは広告というより、 文化的映像表現に近い完成度です。
② トーンが一貫しており、ブレがない
音・色味・テンポ・カット割りまで、
すべてが「静謐」に統一されています。
骨壷という題材は、
- 重くなりすぎる
- 不気味になる
- 説明臭くなる
といった危険が常にありますが、 このCMはどの罠にも落ちていません。
広告プロデューサーとして見ると、 制御力の高さが際立つ映像です。
③ テレビという媒体への配慮がある
このCMは「死」を直接描きません。
描くのは、
- 気配
- 記憶
- 空気感
そのため視聴者は、 「骨壷のCMを見せられた」ではなく、 「静かな映像を見た」という感覚で終わります。
これは、 TVCMとして非常に高度な判断です。
「売るCM」ではなく、「残すCM」
- 短期的な売上
- 即効性のある認知拡大
よりも、 - ブランドの思想
- 企業姿勢
- 文化的価値
を伝えることに主眼が置かれています。
角の上としての結論
骨壷という、 誰もが避けてきたテーマに正面から向き合い、 テレビCMとして成立させたこと自体が、 この仕事の最大の価値です。